あなたの故郷はどこですか？

「あなたの故郷はどこですか？」

この問いにあなたならなんと答えますか？

私の故郷はここだ！と

はっきり答えることができますか？

恐らく、あなたはどこかしらの場所を

一つ思い浮かべたことでしょう。

では、

「あなたの居場所はどこですか？」

この問いだとどうでしょうか？

私の居場所ってどこだろう？

きっとあなたも一度は自分の居場所について

悩んだことがあると思います。

同じ場所にいるはずなのに

仲間といるはずなのに

孤独を感じることってありますよね。

わかります。

でも、あなたが感じている孤独は

本当の孤独ではないかもしれません。

「孤独が辛いんです。そんな人に向かって

君はなんてことを言うんだ。」

と思ったかもしれないですね。

申し訳ございません。

でも、私があなたにそう伝えたのには

きちんと理由があるんです。

実は、私はある本を通して、

本当に孤独を感じている人の声を知ったのです。

私は別にあなたの孤独が嘘だと

言っているわけではありません。

しかし、あなたの想像を遥かに超えるほどの

孤独を感じている人がいるのです。

きっとこの本を読めば、

あなたは自分の悩みをちっぽけなもの

だと感じると思います。

むしろ、孤独を抱える彼らに

どう向き合うべきか考えること

になるでしょう。

なので、別の意味で、

少し心が重くなるかもしれません。

でもそれだけ考えさせられる本であり、

あなたにも読んでほしい本なんです。

その本とは……

「マッドジャーマンズ  ードイツ移民問題」

(ビルギット・ヴァイエ＝著/山口侑紀＝訳、

花伝社、2017年)

です！！

「移民物語？？その本、なんだか難しそう…」

今、そう思いましたよね？

そうなんです。

ドイツの移民問題を描いた本なんです！

移民問題。

日本にいると移民問題について

実感する機会は少ないかもしれませんが、

考えるべき問題ですよね？

この本の舞台となるドイツでは、

現在、移民問題が課題となっていますが、

この本では、東西ドイツ統一前後の

モザンビーク人の苦悩を描いています。

ドイツでもあまり知られていない

東ドイツで出稼ぎ労働をしていた

モザンビーク人たちの実情とその後を、

3人のモザンビーク人たちの記憶

という形を用いて明らかにし、

現代の移民問題にも通ずる

彼らの孤独や移民問題の課題について

考えさせてくれる本です！

そんなこと言われると、

ますます難しそうに感じますよね。

でも、聞いてください！

実はこの本…

漫画なんです！！

しかも、ただの漫画ではありません。

移民問題に揺れる欧州

ドイツに衝撃を与えた

社会派コミックなんです。

2016年には、マックス&モーリッツ賞

という1984年から続く権威ある賞で

最優秀ドイツ語コミック賞を

受賞しています。

さらに、

一巻完結、

全編カラー刷りで、

コマ割りもシンプル。

とにかく読みやすいです。

そして、イラストが印象的です。

シンプルな線で描かれつつも、

心にどしっと乗っかる感じがします。

また、時折、迫力あるグラフィックが

目の前に飛び込んできて、

今まで読んだ漫画とは一味違う

感覚を覚えました。

これはぜひ実際に開いて見てほしいです。

それだけでも一見の価値があると思います。

しかし、何よりもキャラクター達の

吐くセリフがすごいです。

登場人物は架空の人ですが、

登場人物が語る経験は、

著者が取材で集めた生の声なんです。

だからこそ、

見逃さずにはいられないんです。

出稼ぎ先のドイツでも孤独を感じ、

故郷だと思っていたモザンビークに

帰ってくると、

そこはもう彼らが知っている

モザンビークではなくなっていた。

「私の故郷ってどこなんだろう？」

そう、私が最初にあなたに投げかけた問いは

彼らの心の叫びだったのです。

知る人ぞ知る、話題の社会派コミック。

今すぐあなたも体感してみませんか？

もしかするとあなたの孤独を

吹き飛ばしてくれるかもしれません。

マッドジャーマンズ ドイツ移民物語